2021/11/19 16:41

スウェーデン生まれの『IRIS HANTVERK/イリスハントバーク』は視覚障害のある職人が手作業で作るブラシの製造を主に行っており約150年の歴史を持った老舗ブランドです。

クラフトマンシップへのこだわり視覚障碍者への平等な機会の提供社会的・環境的に責任ある天然素材の調達(FSC認証を受けた木材など、持続可能な獣毛、植物性原料を使用)といった創業以来変わらない理念が近年、責任感のある消費者の間で注目され、需要を伸ばしています。

見た目のオシャレさもさることながら実用的で天然素材の心地いいブラシは世界中にファンを持ち日本でも愛用者が多く、一つ一つ職人の手で丁寧に作られ耐久性に優れた商品です。
そんなイリスハントバークの長い歴史に起こった波乱万丈なストーリーをお話したいと思います。



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イリスハンドバークの前身である「視覚障碍者協会」が設立されたのは19世紀、日本では鎖国から開国し始めたくらいの明治ごろ。
スウェーデンでは農業から工業化への移行が進んで、多くの人が都市部に移り住み、労働運動が盛んになっていました。
「視覚障碍者協会」は、視覚障碍者が積極的に社会に参加し雇用の促進と自立を促す目的で設立されました。
音楽イベントや講演会など活動の中に職人達による手作りの製品がありました。
彼らは仕事で生活できることを強く希望していたことから協会は職人によって作られる、手作りブラシに注力していくようになります。

1906年、視覚障碍者用のブラシ製造のための施設が購入されイリスハントバークの基盤となりました。
建物には、工場、倉庫、原材料の販売、オフィス、図書館、売店など様々な機能を備えており、驚くことに工場で働くだけでなく自宅でも仕事ができる画期的な環境だったことで視覚障碍者が働く事のハードルが下がりなんと約100人の雇用を行う規模になっていました。
今でこそ定着したリモートワークですが、当時パソコンもない時代に最先端の働き方だったんだろうと想像してしまいます。
しかし、長く定着させるのは難しかったようで自宅での労働を仕事と認めることができないという組合の判断によりリモートワークは廃止され雇用できるブラシ職人の数は激減してしまいました。また、プラスチックの供給が世の中に増えた事も重なり高価な手作りブラシの需要は低迷していきました。
ここで追い打ちをかける出来事が起こります。国からの補助金が打ち切られることになったのです。
2000年代には100人いた職人は20人ほどになり、最終的には4人になってしまいました。
経営難に追い込まれ、当時のオーナーはイリスハントバーク社を手放す決断をします。
会社を買いたいと名乗り出た女性は残念なことにイリスハントバークというブランド名にだけ興味を持ち『イリスハントバークの工場をすべて海外に移し大量生産をこない、スウェーデン内の雇用を解雇しよう』としていました。
そんなウワサが耳に入るなり、一大決心をした社員がいます。
現在のオーナーである“リチャード・スパレンホーク”と“リサ・エドベル”の当時マネージャーだった従業員の2人です。
一緒に働いてきた仲間が解雇され、悲しい思いをしている人たちを近くで見ていた事から『簡単に解雇すべきではないし、大量生産ではクオリティを守る事ができない。視覚障碍者に支えられて続いた伝統が無くなってしまうことに耐えらなかったんだ。』と自分たちで会社を買う決断をします。
すぐに彼らは解雇してしまった職人たちの再雇用を目標に掲げ、世界中の展示会を飛び回りイリスハントバークの認知を高めて売上を上げていきました。今では職人の育成にも力を入れて伝統的な工芸品を再び成長させる事を目標にしています。

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イリスハントバークが誕生した頃には坂本龍馬は生きていて日本は鎖国していて、、当時使われていたものを今も使っている、、歴史の重みを実感します。
(製品は月日と共にアップデートしているので全く同じではないのですが)

ブランドのキーワードは「強さ」「堅実さ」「誠実さ」です。イリスハントバークにとって“モノを売る”とは環境的にも社会的にも持続可能な方法で製品が製造されていることを意味しています。ほとんどの製品はスウェーデンで作られており、ブラシの製造は天然素材を使って1本1本手作業で行われているため、環境への負担は当然少なく、使用している木材などはFSC認証を受けたスウェーデンの広葉樹を使っています。植物原料はスウェーデンでは育たないためメキシコ、ブラジル、東インド諸島からブラシの毛は50年以上も前から同じ2社のサプライヤーを使っています。

ブラシができるまで



お気に入りの商品

スタッフMのお気に入り商品はボディブラシです。
柔らかすぎず硬すぎないブラシの心地よさを知ってしまうと手放せなくなってしまいます。